物語を語るものが世界を支配する

ドラマ、映画、小説、マンガなどあらゆる”物語”について語っていきます。ブログ名は、ネイティブアメリカンのホピ族の諺から。

贋作 桜の森の満開の下

www.nodamap.com

 絢爛たる舞台。

 

冒頭、度肝を抜くのは、舞台演出の華麗さだ。
舞台全体を覆う巨大な一枚紙の絨毯を突き破って、鬼たちが姿を現す。と同時に、逆さまに舞い降りてくる桜の森。

 

いかに芝居を見せるか、を熟知した野田秀樹の演出がこれなのだ、と圧倒された。

 

そして始まる物語は、言葉が織りなすイメージの迷宮。

 

妻夫木聡古田新太天海祐希ら演者の肉体を通して実体化していく物語世界に、観客はたちまち呑み込まれていく。

 

中でも、深津絵里の演じる夜長姫が魅力的だ。

無垢な少女と残忍な女王が混在する、魔性のヒロインが、登場人物たちと観客を翻弄していく。

 

池田成志大倉孝二ら共演陣もいい。

早寝姫を演じた門脇麦にはいつか、夜長姫にもチャレンジして欲しいと思った。